2020/06/30 19:16

写真の花の名前はノウゼンガズラ。百日紅(サルスベリ)と同じく花の少ない夏に咲くなじみの花で、この花の蜜は厳密にいうと人間に毒だ。人間に毒でもミツバチの大切な越夏食料花に変わりなく、あの毒の塊のような高原に咲くトリカブトの毒とは月とすっぽんぐらい違うから気にすることはない。
ノウゼンガズラの毒は蜜に混じっても微々たる量で気にすることはない訳は二つある。一つは毒成分が薄いことで、肝心のもう一つは、洋蜂に比較し集蜜力の低い日本みつばちの採蜜は一年に1回になることだ。四季を通じた百花蜜の中のノウゼンカズラの蜜が年1回の採蜜で100分の1にも満たすことはなく、しかも巣箱の中で夏を越して熟成される過程で酵素によって分解されると考えられる。したがって、ノウゼンカズラの花が巣箱周辺一面に咲き誇っても蜜の割合が1%も満たない状態で毒の心配をすることはない。
能登に旅をしたときに朝市で3年漬けたフグの卵巣を手に入れて思った。1年間もの長期間を巣箱の中で生きた酵素が熟成し変化して濃厚な味わいをもたらす日本みつばちの純粋蜂蜜は、逆説的だが大量生産の単価蜜とはまるで違う食物になる。
2020.6.30 岐阜日本みつばち里山プロジェクト 安江三岐彦