2020/06/11 22:18

写真のひときわ大きい蜂は金両辺に誘引されて来た「はぐれ女王」である。はぐれ女王は間引きされた女王で、群を捕獲した後に、時々捕獲場の巣箱や誘引蘭の近くで見られる。ほとんどの場合この女王は群れから用をなさない王と追い出された王である。コロニーに見捨てられた王ははぐれるしかない。と、断定したが、断定は僕の独断と断っておこう。なぜこのようなはぐれ女王が出るか?自説を書こう。
控えめに計算して、通年20群以上を10年間飼育すれば200回以上の飼育事例を積み重ねたことになる。この事例は失敗を積み重ねて得た飼育技術で自身の確信になるが、やっぱり独断の持論に違いない。
分蜂したコロニーは1匹の女王の放つ集合フェロモン臭で統一される。春に子別れして出る最初の群は冬を越した母王の群で群はその後に数回子別れを繰り返す。ベテラン母率いる安定分蜂の後に写真のようなはぐれ女王は出ない。出る場合は3回目頃からが圧倒的に多い。これにはコロニーがつくる王台(新しい王を育てる房)の数と産卵する日取りが密接に関係している。まず、1回目の王台(長女王)に産卵して3~4日後に2回目(次女王)を産卵する。すると孵化も間があるから分蜂日もセオリーどうり間がある。問題はその先。1日に1回一度の産卵なら正常な交尾王が育ち間をおき分蜂を繰り返すことができるが、なぜか3回目以降になると予備王台をまとめてつくることが多い。女王の役目は産卵を繰り返すこと。ゆえに同時につくられた王台には同時に産卵するしかない。だからふ化も分蜂も同時になるのが問題の原因。孵化するたびごと分蜂していてはコロニーは崩壊してしまう。分家を繰り返していては本屋がつぶれる。これを止めるためには、すべての王台から生まれる女王を1匹を残して不要な王を淘汰させる。これが間引きだ。死骸が巣門に捨てられたり、この写真のように交尾もできず、ゆえにフェロモンを出せずにはぐれたり‥ミツバチの世界も大変だ。
正常な群では正常な王を1匹で野ざらしに放置しない。
2020.6.11 岐阜日本みつばち里山プロジェクト 安江三岐彦