2020/05/28 21:23

写真の蘭の名前はデポニアナムという。日本みつばちの分蜂群を誘引する蘭で金両辺と同じように使う。この写真は、和蜜塾の山羽さんが揖斐川沿いの山里に仕掛けた丸洞の待ち箱に群れを誘引した時の動画を送ってくれた一枚である。ちなみに、この入居丸洞は10年前に僕が制作したもので、3年前から山羽さんが使ってくれ、今回見事に入居を果たしたものだ。

デポニアナムは花も葉も金両辺より太く、大きく、誘引力も高い。花が鉢より垂れ下に咲くので花だけを網で包んでいる。これは蜂が花に直接触れないようにするためのもの。蜂が花に直接触れると受粉する。同時に花の匂いが消え誘引の用をなさなくなってしまう。実際に群れが花に直接群がるとその重みで花は折れ萎れて一巻の終わり。こうして網越しで誘引すれば何度も群を誘引することができる。デポニアナムは金両辺より誘引力が高いと書いたが、それは一般論で、僕はそうは思っていない。金両辺も園芸品種が多く白花や多種多様にあり僕も保有しているが、原種に近いほど誘引力は高い。原種一鉢を宮地君に譲ってもらって効果を実感したからこれは間違いない。

さて、僕の植え替えに使う用土だが、これはほとんど費用をかけていない。僕は冬の半年間は薪ストーブを愛好している。だから暖炉の燃料の薪集めも趣味の一つ。倒れた古桜の情報が入るとチェンソーを積んだ軽トラを走らせて一汗流すが、そんな時に老桜の芯のボロボロが手に入る。その茶いろの芯を保管しておき鉢植えの時取り出して用土材にする。2センチ角は鉢の底石に使い、1センチ角は土化したボロボロ屑と、以前仕入れたヤシの皮の灰汁を抜いたチップを混用する。経験上金両辺は用土を選ばないから水はけのよい用土で水やりと肥料と温度管理さえ確かなら育てることは難しくない。

今は、花の誘引成分を人工ワックス化した誘引ルアーが便利で簡単で人気も高く僕も使っているが、日本みつばちにはやっぱり金両辺がよく似合う。

2020.5.28  和蜜塾  安江三岐彦