2020/04/22 21:13


写真は、つちのこファームのさくらんぼの枝に吊るしたスズメバチ劇とれトラップ。誘引液を入れたこの器を吊るすとスズメバチが器に入って捕獲することができる。

みつばちの天敵の代表格の一つがスズメバチ。厄介な天敵だ。スズメバチは8月下旬から晩秋にかけ、巣箱の蜜の匂いを嗅ぎつけてやって来る。大別して2種類、行動も破壊力も違う。キイロスズメバチは巣門前でヘリコプターのようにホバリングしながらみつばちの隙をつき噛みつき口にくわえて自分の巣に運ぶ。基本は単独行動だがいつまでも続くので侮れない。一方のオオスズメバチは仲間と連携して巣箱の中に侵入し蜂も蜜も略奪する。破壊力も半端ない。

この天敵が多くなる秋になってからタモで捕獲してては効果は低い。一応、巣箱の前に装着する金網式トラップや粘着シートも定番の対策だが、完全制覇にならない。そのうちに恐怖におののいて逃去するか通いが衰えて活動が停滞し崩壊する。

そこで今、劇とれトラップの登場だ。今、春の盛りの5月までの天敵蜂は女王が動き回る貴重な時期で捕獲チャンスなのである。つまり、この女王を捕獲すれば秋にあわてることはない。昨秋に木の洞や屋根裏などに潜り込んで越冬して目覚めたスズメバチの女王は、はじめは自分1人(匹)で巣をつくり産卵しエサを運ぶ。一旦ふ化した新蜂が外仕事を始めると女王は産卵に専念する。だから巣の外に出ない。したがって、この時期しか女王を捕獲することはできない。

僕は、複数の蜂場にこの誘引エキス入りの劇とれトラップをセットする。今、捕獲する一匹の女王は夏から秋にかけて襲来する500匹に指摘するくらいの効果がある。飼育者はこれを知っていても実行する人は少ない。

2020.4.22    安江三岐彦