2020/03/08 22:52


その2 の分離凝固の項の続き
写真は、秋に採蜜し3か月経過した現在の分離したはちみつ。上の琥珀色が果糖蜜で下の白色がブドウ糖蜜。この割合は蜂が訪花した花の種類と量で変動する。前述の通りレンゲなどの草花はブドウ糖を多く含んでいてアカシアなどの樹木の花は果糖が多い。したがって樹木花は凝固しずらい傾向になる。しかし、百花を訪花する日本みつばちから凝固も分離もしない蜜はつくれない。仮に、山一面を樹木花だけが年中咲き誇っていたら凝固しない蜜がとれることになるのだが‥それはない。

蜂は蜜を保存しておかなければならない事情がある。花のない時期でも巣をつくる蝋も蜂児のエサも女王のロイヤルゼリーも蜂蜜だけが原材料になる。だから貯蜜しておかないと生きられない。したがって品質の変化幅を少なくし安定させるために糖度を上げるのだ。しかし、糖度の高い安定した高品質の蜜でも蜜の中に花粉は必ず混入する。この花粉も栄養価に大きく貢献しているのだが。

さて、なぜ凝固するのか。純粋で天然の蜜は生き物でたえず変化する。だから低温化で気温変動幅が大きいと蜜は花粉の粒子を核にして凝固をはじめる。営巣中の蜜は冬でも凝固しない。なぜか? それは営巣中の巣の蜜は蜂によって安定温度で保たれているから。

純粋で天然の日本みつばちの蜂蜜は冬季の常温で結晶化も分離化もする。本物の証と思ってよい。
結晶と分離を防ぎたいなら25度前後の安定温度か、逆に冷凍庫内で保管するがよい。保管するよりもさっさと食べるがもっとよい。
結晶化した蜜の品質は劣化しない。加温せずそのままを食すべし。
分離した蜜はスプーンで混ぜクリーム状にして食すも良し。果糖蜜とブドウ糖蜜に分けてそれぞれの特性を生かして食すも良し。
はちみつの項 終わり  2020.3.10

安江三岐彦